~ 一盌からピースフルネスを ~

客になり風炉の其のうち見る時に 灰崩れなん気づかいをせよ

 風炉の灰形を習った人はわかるでしょうが、大変な手間のかかるものです。

 それだけに、風炉の灰に関した茶人の逸話も多いです。

 千宗旦の長男宗拙は風炉の灰の名人だったと伝えられます。宗拙が大徳寺の三玄院にかくまわれていたとき、宗旦が突然訪ねてきて、座敷の隅に据えられた風炉の灰を見て、「宗拙がおじゃましておりますな」といったといいます。それほど宗拙の風炉の灰には特徴があったのです。

 風炉中拝見の時、荒っぽく歩かれたり、立居されたりすると、亭主がせっかく苦労して仕上げた灰に裂れ目ができたりします。その反対に、少々のことでは乱れないような灰の仕方は、真実の灰でないともいえます。いわゆる「死んだ灰」です。灰形はかたく押さえつけてつくるものではありません。客は、亭主の苦労を察して、風炉の拝見するときなど、静かに拝見するようにしなければなりません。

2018年4月