~ 一盌からピースフルネスを ~

畳(二)

畳の敷き方

 一般の住宅は「祝儀敷き」といい、畳の合わせ目が十字にならないように敷きます。反対に合わせ目が十字になるような畳の敷き方を「不祝儀敷き」といい、葬式の場、寺院や旅館の大広間でこの敷き方が行われています。

 出入口に対しての敷き方もあります。出入口に対して横になるように畳を敷きます。こうすると、畳の目の方向と足を運ぶ方向が同じになりますので、足の運びもスムーズですし畳も傷みづらくなります。

 床の間のある部屋では畳と床の間は平行になるように敷きます。床の間の前の真ん中は上座になります。その上座に畳の縁があると縁に座ってしまうことになり相手に失礼になります。また、床の間に飾った花や陶器、掛け軸などを観賞した後、畳の目の方向が合っていると、膝をすって後ずさりしやすいからです。

 「畳の縁は踏んではいけない」と聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。畳の縁には、格式を重んじてお寺の宗派、皇室、武家、商家などの流れを汲んだ家紋を入れた「紋縁」というものがあります。この家紋を踏むことはご先祖や親の顔を踏んでしまうことにあたります。また、動植物などの生き物の柄が入った縁も多いことから、生き物や草花を踏みつけることを避けるといった思いやりの心が、現代の「畳の縁は踏まない」というマナーとして残っているのです。また、茶室では貴人畳、客畳、炉畳、点前畳、道具畳、踏込畳など、それぞれの畳の座につくことで思索を行います。畳の縁はそれぞれ意味のある空間を区別するための結界でもあり、亭主と客の区別を明確にする重要な縁は、踏んではいけないのです。

 畳表に使われるい草は、スポンジのように小さな穴で構成された多孔質構造になっており、吸湿性・放湿性に優れ雨などの湿気が多い時は吸湿し、乾燥した時は放湿してくれます。また、断熱性もあるので夏は涼しく、冬は暖かさを与えてくれます。その他、シックハウスの原因にもなる二酸化窒素などの化学物質を吸着してくれる空気の浄化作用もあるそうです。い草には「フィトンチッド」という樹木と同じ香り成分が含まれており、部屋にいながら森林浴の効果が得られるそうです。新しい畳の、い草のいい香りをかぎながら寝転がっていると、なんとも気持ちが安らいでリラックスできます。畳ならではの魅力ですね。

※『い草』についてもっと知りたい方はこちら

 

2018年10月

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