25. 幸
町中でよく漢字をプリントしたシャツを見かけます。その中で一般的によく使われる漢字に幸福があります。その最初の漢字「幸」という字について少し調べてみましょう。
読み方
音読み コウ
訓読み さいわい・ さち[中]・ しあわせ [外]みゆき
意味
「倖(コウ)」の書きかえ字。
[音]コウ(カウ)(漢) [訓]さいわい さち しあわせ みゆき
- 運が良い。幸い。「・幸甚・幸福/多幸・薄幸・不幸」
- (「倖」の代用字)思いがけない幸い。「射幸心」
- かわいがる。気に入られる。「幸臣/寵幸 (ちょうこう) 」
- 天子・天皇の外出。みゆき。「行幸・御幸・巡幸・臨幸」
- 「名のり]さい・さき・たか・たつ・とみ・とも・ひで・むら・ゆき・よし・さち
- さち。めぐみ。海や山でとれた食物。「海幸、山幸」
幸という字の成り立ち
『幸』を辞書で調べると、「さいわい」、「幸福」と記載されています。「幸い(さいわい)」を調べると、「その人にとって望ましく、ありがたいこと。また、そのさま。しあわせ。幸福。」となっています。つまり「幸」とは、人それぞれに異なった望ましいことであると言えます。そんな人それぞれな言葉を「幸」という漢字にしたのにはどのような由来があるのでしょうか?
わかりにくいかもしれませんが、『幸』の字は、人が囚われの身となり、刑罰の道具である手かせがはめられた姿を表した象形文字です。「Y」のような字が両手を上に上げられた人で、その上がった手にかけられているのが手かせというわけです。運よく刑罰から免がれてさいわいであったという意味から「幸」という漢字になったようです。
また、囚われの身となって、自由を奪われ、家財も失い、家族や恋人とも一生会うことができず、苦しみと悲しみのなか死の恐怖にさらされる・・・。幸福感があまりにもまちまちなので”幸せ”を表すために、誰にとっても”幸せ”とはいえない最大の不幸のイメージを用いたという考えもあるようです。
象形文字です。「手かせ」の象形でさいわいにも手かせをはめられる
のを免れた事を意味し、そこから、「しあわせ」を意味する「幸」という漢字が成り立ちました。
参考までに中国の昔の字体です。
「幸」から始まる言葉
- 幸運(コウウン) 幸甚(コウジン) 幸便(コウビン)幸福(コウフク)
- 〈幸先〉(さいさき)幸い(さいわい)
- 幸▲菱(さいわいびし)
- 〈幸魂〉・△幸△御△魂(さきみたま)幸(さち)
- 幸せ(しあわせ)
2025年5月