~ 一盌からピースフルネスを ~

月見だんご

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 旧暦8月15日の月は十五夜、9月13日の月は十三夜と言われ、その日に団子、栗、里芋、すすきなどを供えて月を愛でる「お月見」の風習があります。水で練ったもち粉を蒸し小さく丸めた「月見だんご」は、穀物が取れたことに感謝し、また豊作を祈るものです。

 十五夜には15個または12個(一年の満月の数にあわせて。閏年には13個)、十三夜には13個の団子を、積み上げるようにして三方に盛るのが正式のようですが、ご家庭では簡略化して5個ほどの団子をお皿に盛りつけることも。団子は、関東では満月に見立てて丸い形が主流。関西では芋に見立てて里芋型(片方を少し細長くした丸)で、さらに餡をつけることも多いようです。また、“十五”にちなんで団子の直径を一寸五分(約4.5cm)にするなど、十五夜や月をイメージさせる粋な伝統が、この供物にちりばめられています。

 「月見だんご」を月の見える場所か床の間にしばらく供えたら、月を眺めながら美味しくいただきます。白くつややかな団子はもちもちと弾力があり、噛むたびに米の甘みが感じられます。お好みで、餡や黒蜜・きなこと一緒に楽しむのもまた良し。名月をお供に、この素朴な月見だんごをほおばり、秋の夜長を感じる贅沢なひとときです。

2017年9月

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