12. 白米(うるち米)について
日本はじめアジア全域の主食である米。我々の食卓に欠かせない食材です。
アジア以外でも米は世界中で生産・流通されており、米は小麦、トウモロコシと並び世界三大穀物と言われています。
米の生産量はアジア圏が9割を占めますが、こちらブラジルでも多く栽培されています(生産量世界第9位)。
今回は食養生・薬膳の観点から、粘り気が少なく、米飯に用いる白米(うるち米)を取り上げます。
【効能について】
白米は五味(味の特性)「酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味(かん味)」では甘味に属します。
食欲不振や下痢・嘔吐といった消化器系の不調を整えてくれるのが甘味の特性の一つです。体調が悪いときにおかゆを食べるのは理にかなっているのです。
またエネルギーの素となるでんぷんとたんぱく質、その他脂質とビタミンを多く含むので身体を元気にしてくれます。
五行説の「寒性・涼性・平性・温性・熱性」の五性(食べ物の性質)について白米は平性、身体の寒熱のバランスを整えてくれます。熱がこもると不快に感じますが、そのわずらわしさを改善する働きがあります。
平性の長所は季節や年齢、体質に関係なく安心していただけます。主食として優秀な食材といえるでしょう。
ちなみに同じ米でも、もち米は五味でいうと甘味ですが、五性は温性にあたり、身体を温める作用があります。暑がりな人やニキビ・湿疹ができやすい人はもち米の常食は控えた方がよいでしょう。
【食品として】
くせもなく、ほんのりした甘みがおいしい白米は様々な調理に用いられています。
そのまま主食としていただくのはもちろん、ジャガイモやトウモロコシと同じように主菜の付け合わせに使われることも多いです。
世界中に米料理は根付いています。西・南アジアではスパイスや肉を米と一緒に炊き込む料理は伝統料理の一つですし、ヨーロッパにおいては、イタリアのリゾットやスペインのパエリアなどが代表的な米料理として挙げられます。
また南欧や東南アジアでは米を牛乳やココナツミルクと砂糖と一緒に炊き込んだデザートも好まれています。
茶の湯の席では欠かすことのできないお菓子にも米粉として白米は使われています。団子やせんべいの材料の上新粉は白米(うるち米)を粉にしたものです。
ちなみに白玉粉はもち米を粉末にしたもので、滑らかな触感が特徴です。
かつて米粉は粒子が荒く、パンや洋菓子作りにはなかなか適さないとされてきましたが、製粉会社各社の企業努力もあり、きめ細やかな米粉が作られるようになりました。そんな米粉を使ったパン・ケーキなどを見かける機会も多くなっています。
グルテンフリー食品への需要が高まり、世界的に米への注目度がますます集まってきている反面、残念ながら日本では、近年白米は糖質制限ブームの波に押されて、年々消費量が減っている傾向にあります。
パワーの源ともいえる白米、糖質を気にしすぎず、しっかりいただいて日々の健康に反映していきたいですね。
2024年11月