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ブラジルの植物 11. オラプロノービス ora-pro-nóbis 杢キリン

 オラプロノービスの学名はペレスキア・アクレアタ(Pereskia aculeata)です。日本名はモクキリン、サボテン科コノハサボテン属の一種であります。茎や枝に刺がありますが、見慣れているサボテンとは全然違います。それに他の植物と同じように葉が付いています。どんな種類の土でもよく生長し、普通は生垣として使われ、レモンの香りがある花が咲きますので、あずまやの飾りつけに多く使用されています。また、風を防いだり、侵入を妨害したり、ペット等が逃げだせないようにするのに役立ちます。

 オラプロノービスは食品、薬としての良質な成分が多く含まれています。料理では生のままのサラダ、煮物、粉にして使用できます。葉は粘質性が高いので腸の機能を高め、鉄分も多いため鉄分補給に効果的です。その他にたんぱく質、ビタミンA,B,C, カルシウム、マグネシウムとリンのパーセンテージが高いため「貧乏人の肉」と言われたりします。ラテン語で「私達の為にお祈りください」という意味があり、ミナス州の教会の周りにたくさん生えていて神父の祈りを聞きながらその植物を摘んでいたことからオラプロノービスという名前になったそうです。

 2022年七月付けブラジル文化文学会出版のブラジル日系文学誌にオラプロノービス日本食探求会代表である中沢宏一氏のオラプロノービスについての記事が載っています。中沢さんは一本の枝を貰って、当時は日系植民地の間ではまだ見知らぬ植物でしたが、彼は健康にとても効果的であると知ってオラプロノービスを植えて自分自身で実験をしてみました。一日三食で百グラム以上毎日約二年食べ続けました。結果としては体重は少し減りましたが筋肉が付き、体力は少しも衰えませんでした。そして栽培を決意した。アチバイア市の1ヘクタールの土地を買って、そこに約1万本を植えました。

 オラプロノービスはアメリカの南部からアルゼンチンまで生息していますが、ブラジル産のものが食品として最も適しています。収穫や剪定の時に刺に気を付けなければいけません。南アフリカでは原生林を絶滅することが可能なので侵略的植物として扱われています。現在も手におえないほどです。

2023年5月

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