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ブラジルの植物 5.ブラジルボク Pau-Brasil 蘇芳(すおう)の木

 蘇芳の木またはブラジルボクはブラジルを象徴する木でありその材木は高貴であります。先住民の言葉ではイビラピタンガと呼ばれ「赤い木」と言う意味です。蘇芳の木の心材が炎のように赤色していることに由来し、ブラジルという言葉は灼熱を意味するポルトガル語のブラーザという単語に由来しています。

 学名はCaesalpinia echinata, 改名 Paubrasília echinata. 材木から紅色色素が得られ長年にわたりヨロッパ人が高級衣類の染料として用いられました。材木はまた造船や家具の素材として使われ、現在では弦楽器の弓の材料として採用され、振動減衰性が低いため世界中のオーケストラから求められています。

 1530年から1630年の間約2億の大木が伐採され絶滅の恐れがあるため絶滅危惧種とされています。ポルトガル人によるブラジル開発は、ブラジルボクの伐採と輸出から始まって、ブラジルの歴史で経済時代を画し、いつしか、この地は「ブラジル」と呼ばれるようになったのです。

 ブラジルボクの木の特徴としては赤い木、トゲがある幹と実、緑色でつやがある葉があげられます。花は、大きくて黄色四枚の花弁と中心に赤くて小さな花弁一枚から成り立っています。ジャスミンに似ている芳香があります。一年に一度15日間だけ咲いています。淡い香りは芳香剤や液体洗剤の生産に使います。しかし、これらの生産物は主に職人が作っており花を植えて時期に収穫できるようにしています。

 ブラジルと命名した蘇芳の木は1500年もあるに関わらず生き生き伸び伸びと育ち続けています。その幹を見上げるとどこまで続いているかは見分けることができません。この木はブラジルの大西洋岸森林バイア州の南にある最も古い自然保護地帯の中にあるモンテ・パスコアル国立公園、博物館に生存しています。

2021年11月

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