~ 一盌からピースフルネスを ~

黒文字

 “黒文字”はお茶席などで主菓子に添えて出される楊枝です。香りのよいクロモジ(黒文字)の木の枝を削って作られ、楊枝自体も黒文字と呼ばれます。その名の由来は、樹皮に黒い斑点があり、それが文字に見えることから黒文字と呼ばれるようになったという一説があります。

 黒文字は銘々皿には一本、縁高には、蓋の上に人数分の本数を形よく組み添え、一客一本使用するのが原則ですが、菓子鉢などには、二本添えて箸として用いることもあります。

 長さは六寸(約18.2センチ)が普通とされますが、菓子器によって長短を選ぶこともあります。使う前に水に浸してから拭き、色と香りを引き立てて使います。これは、黒文字に菓子がくっついてしまわないようにとの配慮もあります。

 本来黒文字は、亭主が茶事の直前に自ら削って作るもので、客は使用後自分の分を懐紙に包んで持ち帰ることが正式です。しかし最近では懐紙に包んで返すこともあります。

 その他、茶懐石では長めの黒文字二本で、強肴(しいざかな)などの取り箸としても使われます。

 

2019年6月