~ 一盌からピースフルネスを ~

17. 序破急

 序破急とは日本の雅楽の舞楽から出た概念です。「序」は、「いとぐち」物事の始まり」で、「破」は「序」の静けさを破り、内容が展開していきます。続く「急」では、クライマックスへと一気に盛り上がり、速やかに閉めくくるという様子を表します。また、文章等の論理展開においては、全体の構成を3つに分けるという意味合いでも用いられています。この序破急は、後に能楽、連歌、蹴鞠、香道、剣術、抜刀流、居合道、茶道などの芸術論で、使用される言葉となりました。脚本構成においては、能、浄瑠璃、歌舞伎などにおいても、日本では中世以降、伝統的に用いられてきた構成です。

もう少し細かく解説してみましょう。

 

【雅楽】楽曲を構成する三つの楽章。初部の「序」は、緩徐で拍子に合わず、中間部の「破」は、緩徐に合い、終部の「急」は急速で拍子に合う。

【能、浄瑠璃】脚本構成上の三区分。「序」は導入部。「破」は展開部、「急」は結末部。

【能】番組構成上の三区分を、五番立ての番組で、、脇能を「序」、二番目・三番・四番目を「破」とし、五番目を「急」とする。

【連歌、俳諧】一巻(ひとまき)の運びを規制した形式・原理。「序」は、無事に静かに「破」は曲折に富んで面白く、「急」はさらさらと軽くつけ終わるべしとするもの。

 

 このように、芸能における速度の三区分。「序」はゆっくり。「破」は中間、「急」は速く、講談などのテンポを言う。全ての物事の始め・中、(なか)、終わり。物事の展開してゆく様子です。

 最後に『風姿花伝』の中で、世阿弥は、「序破急」を、音楽や舞を越えて芸道の哲学にまで広げて解釈しました。この『風姿花伝』は、道を極めるための極意書ともいわれ、ビジネス書にも取り上げられています。

 また、「守・破・離」(しゅ・は・り)や、「起承転結」などの概念もあり、「守・破・離」は習得の三段階を意味し、「起承転結」は、「序破急」と似た言葉ですが四部構成を意味します。

2022年9月

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