~ 一盌からピースフルネスを ~

10. 紅葉

今回は、日本の秋に、紅葉こうようするもみじについて紹介します。

日本の北海道では、9月中旬から10月下旬に、又南の九州では、10月下旬から12月上旬にかけて、もみじは紅葉します。

ブラジルでは、かなりの高原地帯では、稀に見ることが出来ますが、カナダや日本のような広範囲にわたり、華やかな色合いの紅葉を、見ることは出来ません。春の花(桜)と秋の紅葉の組み合わせは“雲錦模様”と言われ、その美しさは、古来から日本人に親しまれてきております。

 

百人一首の中の、在原業平の下記の歌は、その美しさを、詠んでおります。

ちはやぶる神代かみよもきかず竜田川
からくれないに水くくるとは

下は同じ百人一首の猿丸さるまる太夫だいふの和歌です。

奥山に紅葉ふみわけ鳴く鹿の
声聞く時ぞ秋はかなしき

 

日本の紅葉の名所は、中央アルプスの駒ケ岳(長野県)、那須高原(栃木県)、大雪山の黒岳(北海道)等があります。

又京都の名所は、永観堂や、東福寺等あります。

精妙な濃淡を描く紅葉、川に落ちて流れる紅葉、清らかな水に映った紅葉、さまざまな紅葉の姿を、日本人は、一つ一つ玩味するように味わってきました。余談ですが、和食の〈紅葉おろし〉は、大根と鷹の爪(とうがらし)、人参などをすりおろしたもので、鍋物、刺身、湯豆腐や、カキの酒蒸し等に使われます。

 

最後に、紅葉の美しさをあますことなく歌った唱歌を紹介します。

1.秋の夕日に照る山紅葉、濃いも薄いも數ある中に、
  松をいろどる楓や蔦は、山のふもとの裾模様

2.たにの 流れに 散り浮く紅葉、波にゆられて離れて寄って、
  赤や黄色の色さまざまに、水の上にも織る錦

(高野辰之・作詞/岡野貞一・作曲)

2020年12月

こちらもご覧ください

  • 16. 幽玄

    16. 幽玄

    幽玄という言葉を聞くと、一番に“能”の世界を思い出します…
  • 15. 寂び

    15. 寂び

    わび、さびは、日本独自の美意識です。たとえば質素で、静かな様子、不完全であることをよしとする、一つの名詞のイメージですが、実際は、侘び、寂びの二つの名詞が繋がったもので、それぞれ意味も違うようです。「さび」というのは、「寂」。そして寂は「寂ぶ」という動詞の名詞系です…
  • 14. 侘び

    14. 侘び

    侘びという言葉は、茶の湯を表す、代名詞のようになっている。が、侘び、わびしいという意味は、現代語では、心細かったり、失意の底にあったりする、思い煩うこと。悲しみ嘆くことを言う。わびを入れるとは、謝罪することをいう…
  • 13. 風流

    13. 風流

    『ご趣味は?』と聞かれ、『俳句です』とか『茶の湯です』と答えると、『風流なご趣味ですね』と。答えが返ってくる。日本人は、花見や月見、上述の趣味に、情緒を感じて、風流という言葉を使う。ところが改めて「風流とは?」と聞かれるとその答えは意外と難しい…
  • 12. 身に入む(みにしむ)

    12. 身に入む(みにしむ)

    表題の言葉は、聞きなれない言葉かもしれない。しかしこの言葉、「身に入む」は、季語になっている。秋風がひんやりしてくる。人は誰でももののあわれを感じるようになる。こうした秋の思いを誘うような、肌に沁み通っているような感じを言う。染む、沁む、浸む、滲む とも書く…